Erbsenzähler -豆を数える人-

ドイツ人と日本人は似ているとよく言われます。主に、勤勉さや時間に正確なことが挙げられる中、少々細かいところも似ています。 今日は、そんな細かいと言われるドイツ人の中でも、特に細かい人を表すErbsenzählerという言葉を紹介します。

Leseratte –読みネズミ-

好きなジャンルの新作は絶対に読んでいる、作家や本の名前がすんなりと出てくる、そんな本好きな人、周りにいませんか? ドイツ語では、このような人たちをLeseratten(読みネズミ)と呼びます。 成り立ち Lesenは『読む』という動詞です。これが名詞の頭に来ると、lese-となります。例えば、読書用メガネは、メガネであるdie Brilleの前にlese-を付けたLesebrilleとなります。 die Ratteは、『ネズミ』です。これは英語のratに似ていますね。 Leseratteの語意 ネ ズミには「一つの事にありついて貪る」というイメージで使われます。このLeseratteは、本が好きなために、本ばかりを読んでいる人と言う意味で す。本ばかり読んでいるというと、ネガティブに聞こえますが、ただ単に『本が大好きな人』を表すだけで、どちらかというと、中立的又はポジティブな意味合 いがあります。 本を読んでいる時に”Du bist echt eine Leseratte!”(本当に本が好きだね!)と言われたら、ただのコメントとして受け取ることができます。 言語で変わる動物の印象 動 物の印象は、国によってそれぞれです。犬は忠犬という意味で、日本ではいい意味がある一方、『政府の犬』『負け犬』というように、悪い意味でも使われま す。日本でネズミというと、『ネズミ小僧』や干支に登場するネズミのすばしっこくずる賢いイメージなどがあり、あまりいい意味には聞こえないことでしょ う。でもドイツ語ではそうでもありません。 ネズミを使ったドイツ語表現 Ratteは同じく「一つの事にありついて貪る」という意味で、他の言葉にも使われています。新出単語の語尾にratteがついているのを見つけたら『~ばかりしてる人』という意味ではないかと予測することができます。 例えばWasserratte。Wasserは『水』なので、水と多く関わっている人なんだなと予測することができるでしょう。 まさにその通り、Wasserratteは泳いだり、水遊びをしたり、水の中にいることが大好きな人のことです。ここはあくまでもネズミで魚ではないんですね。 逆に、Landratteはどうでしょうか?Landは『陸上・地上』という意味なので、陸の上にばかりいる人のことでしょうか? Landratteは『ボートに乗るのを怖がる人』の事を指します。陸の上に居続けたいという思いが伝わる単語です。どうですか?正しく単語の意味を推測できましたか?私の予想は飛行機に乗るのが怖い人のことかなと思いました。でもボートや船でしか使われないそうです。 -ratteで終わる頻出単語はこの辺ですが、その場の状況に合わせて、自分で言葉を文字ってみるのも面白いかもしれません。 蛇足 …

Pechvogel -ツキのない鳥-

一年に2度も交通事故に遭った、何度も携帯を無くした、こんな状況を日本語では踏んだり蹴ったりなどと言いますが、ドイツ語ではその状況ではなく、被害者をPechvogelと呼びます。

Hagestolz ‐生垣のような独身貴族?‐

『ドイツ語にない言葉はない』とよく言われます。ドイツ人が『~って日本語ではどういうの?』と聞かれて、言葉が見つからないのと同時に「こんな言葉が日本語にあったら便利なのに」と思う時がよくあります。 一度言葉にすると、あの事柄を説明し易くなるだけではなく、その言葉に属する事柄やモノが目につきやすくなります。 Hagestolzもそんな言葉の一つです。 Hagestolzの意味 Hagestolzは 年配の独身の男性で、特に結婚したい様子も見せない人を指します。同じアパートに住む、一人暮らしの40代後半は過ぎていそうなご近所さんや、一度も結婚 していない50歳過ぎのおじさんなど家族にいませんか?このような人たちは、ドイツ語ではまとめてHagestolzと呼ばれます。 成り立ち この言葉の語源は古く、今では使われない言葉から来ています。この言葉はHageとStolz の二つの単語から成っており、Hageは古い言葉で生垣のように、土地を覆う背の低い木を指し、Stolzは現代のドイツ語ではGestakt (形)に当たります。 直訳すれば、『生垣の形』となります。 Hagestolzの語源 どうして年配の未婚の男性が『生垣の形』として表されるかには、ちゃんとした歴史的背景があります。ドイツでは昔、親から家と土地を譲り受けることの息子をHagestolzと呼んでいました。このような場合、息子は家の近くにある、小屋を建てるくらいしかできない土地だけを相続しており、このような土地は、Hag(生垣)に囲まれていたことから、このような言葉になったといわれています。 なぜこのような息子が独身でいなければならないかというと、家や土地を相続せず、小屋しか建てられないような場所で家族を築くには小さすぎるため、この時代このような条件の下、奥さんを探すのは無理でした。 そこで、一家には小さすぎる、生垣に囲まれた土地で、一人寂しく年老いていく男性が相称して、Hagestolzとなりました。 100年ほど前までは、ドイツにはこのように結婚していない独身男性に関する権利として、Hagestolzenrechtというものが法律に設けられており、主な内容として、Hagestolzは親戚がいるかには関わらず、死んだ時点で土地は政府の物になるということが含まれていました。 昔は、Hagestolzは未婚の男性一般を指していましたが、今では年配の男性のみを指します。 蛇足 英語では、結婚しない男性を表す言葉は特にありませんが、年配の独身女性に対してはspinster(意味:糸紡ぎをする人。昔は未婚で家計を支えてくれる男性がいない場合、そういう女性は糸紡ぎなどの仕事をして自分を養っていたことから)やcat lady(意味:猫女。独身の女性は寂しさを紛らわすために、猫を多く飼っているというステレオタイプから)が広く使われています。日本では『クリスマスケーキ』が例えとして使われていましたが、結婚年齢が上がるにつれて、使われなくなってしまいましたね。 このクリスマスケーキの表現を外国で説明すると「え~信じられない!そんな言い方があったなんて~!」と驚かれます。話のネタに是非使ってみてください(笑) ちなみに、個人ネタですが、私の田舎の近所にも、Hagestolzがいます。皮肉にも、彼はうちの植木屋さんです(笑)