Hagestolz ‐生垣のような独身貴族?‐


『ドイツ語にない言葉はない』とよく言われます。ドイツ人が『~って日本語ではどういうの?』と聞かれて、言葉が見つからないのと同時に「こんな言葉が日本語にあったら便利なのに」と思う時がよくあります。

一度言葉にすると、あの事柄を説明し易くなるだけではなく、その言葉に属する事柄やモノが目につきやすくなります。

Hagestolzもそんな言葉の一つです。

Hagestolzの意味

Hagestolzは 年配の独身の男性で、特に結婚したい様子も見せない人を指します。同じアパートに住む、一人暮らしの40代後半は過ぎていそうなご近所さんや、一度も結婚 していない50歳過ぎのおじさんなど家族にいませんか?このような人たちは、ドイツ語ではまとめてHagestolzと呼ばれます。

成り立ち

この言葉の語源は古く、今では使われない言葉から来ています。この言葉はHageとStolz

の二つの単語から成っており、Hageは古い言葉で生垣のように、土地を覆う背の低い木を指し、Stolzは現代のドイツ語ではGestakt (形)に当たります。

直訳すれば、『生垣の形』となります。

Hagestolzの語源

どうして年配の未婚の男性が『生垣の形』として表されるかには、ちゃんとした歴史的背景があります。ドイツでは昔、親から家と土地を譲り受けることの息子をHagestolzと呼んでいました。このような場合、息子は家の近くにある、小屋を建てるくらいしかできない土地だけを相続しており、このような土地は、Hag(生垣)に囲まれていたことから、このような言葉になったといわれています。

なぜこのような息子が独身でいなければならないかというと、家や土地を相続せず、小屋しか建てられないような場所で家族を築くには小さすぎるため、この時代このような条件の下、奥さんを探すのは無理でした。

そこで、一家には小さすぎる、生垣に囲まれた土地で、一人寂しく年老いていく男性が相称して、Hagestolzとなりました。




100年ほど前までは、ドイツにはこのように結婚していない独身男性に関する権利として、Hagestolzenrechtというものが法律に設けられており、主な内容として、Hagestolzは親戚がいるかには関わらず、死んだ時点で土地は政府の物になるということが含まれていました。

昔は、Hagestolzは未婚の男性一般を指していましたが、今では年配の男性のみを指します。

蛇足

英語では、結婚しない男性を表す言葉は特にありませんが、年配の独身女性に対してはspinster(意味:糸紡ぎをする人。昔は未婚で家計を支えてくれる男性がいない場合、そういう女性は糸紡ぎなどの仕事をして自分を養っていたことから)やcat lady(意味:猫女。独身の女性は寂しさを紛らわすために、猫を多く飼っているというステレオタイプから)が広く使われています。日本では『クリスマスケーキ』が例えとして使われていましたが、結婚年齢が上がるにつれて、使われなくなってしまいましたね。

このクリスマスケーキの表現を外国で説明すると「え~信じられない!そんな言い方があったなんて~!」と驚かれます。話のネタに是非使ってみてください(笑)

ちなみに、個人ネタですが、私の田舎の近所にも、Hagestolzがいます。皮肉にも、彼はうちの植木屋さんです(笑)




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