ドイツのかかあ天下 -Pantoffelheld
インターネットでは、ヨーロッパの男性の方が、日本の男性よりも断然優しいしなんていう話が載っていたりしますが、優しいために鬼嫁に虐げられているような男性は、ドイツにも存在します。
奥さんの方が、断然強く、尻に敷かれている男性を、ドイツ語では、Pantoffelheldと呼びます。
Pantoffelheldの意味と成り立ち
PantoffelheldはPantoffel(スリッパ)とHeld(ヒーロー)の二つの単語から成っています。つまり、直訳すると『スリッパヒーロー』となります。なぜ、亭主関白とは真逆の生活を送っている旦那さんが、スリッパヒーローと呼ばれるようになったのでしょうか。
鬼嫁が怒りに任せて投げてくるスリッパをかわしている姿からでしょうか、それともスリッパで殴られているのに、耐えている姿からでしょうか。
Pantoffelheldの語源
この言葉は比較的新しく、19世紀に起源します。ドイツでは当時、女性はスリッパを履いて炊事や家事を行っていました。それで、スリッパが家で権限を握っている女性を象徴するものとして見られるようになり、
奥さんの言いなりになっている男の人は、”Er steht unter dem Pantoffel“(彼はスリッパの下に立っている)というように使われるようになりました。
そうです、尻に敷かれているのではなく、スリッパに敷かれていると言われていたのです。
ここから、Pantoffelheldという表現が生まれたのです。
英語でかかあ天下とは
日本語では尻に敷く、かかあ天下などという表現がある中、その被害者(?)を言い表す言葉は見つかりません。英語も日本語と同じで、なかなか尻に敷かれている旦那さんを言い表す言葉はないもの。
しかし、尻に敷くという表現は、ドイツではスリッパの下にやられているというのに対し、『鞭で叩かれている』のwhippedが使われている。また、『雌鶏につつかれている』という表現、hen-peckedも使われる。
海外ドラマのフレンズにもこの表現が使われていましたが、日本語ではどのように訳されていたのでしょうか。フィアンセの言いなりになっている ロスに、「もう尻に敷かれてるんじゃない?(鞭でしばかれてるんじゃない)」とからかおうとして、鞭の音を真似しているチャンドラー。面白いので、ビデオ を載せておきます。