3年ぶりの帰国

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3年ぶりに帰国することにした。

2週間東京に自主隔離になりそうなので、今回は少し長めに2カ月ほど帰るつもりだ。前回帰国したのが丁度3年前。仕事がみつかり、月末に雇用契約書にサインし、翌月スタートでは急だからといって一か月空いたのでゆっくり1か月帰国した。社会人にもなって長期帰国をしているのも珍しいと思う。

よくいく日本人の美容師さんは、危篤のおばあちゃんに会うために2日間分の予約を何とか移動し、4日間で日本とドイツを行き来したそうだ。

飛行機で寝てから早朝にドイツに帰りそのまま仕事をするというからすごい。「帰国の期間が短いと、時差ボケにならないんですよ」といわれて、なるほどと思ったものだ。それに比べて私の帰国は成人してから仕事がない期間が長かったこともあり、毎回長い。

帰国は学生時代は年に1度はしていたけれど、それが2年になり、今回は3年も開いてしまった。私にとって帰省とはアジアに帰って母に会うことがメインなので、タイや台湾で母と会い、お米を食べて、アジアの雰囲気を感じたらそれで帰国した気分になる。そのためコロナ直前の2年前に母とはタイで会っているし、いつも地元で会う友達もコロナ直前にこっちで会えたので、3年も実家に帰ってないという実感がない。

日本のもので何が恋しいかとよく聞かれるけれど、特にないというのが正直なところ。海外に出たばかりの時は、家族が恋しいですというよりも、全てが恋しかった。全てというのは、歯磨き粉から、耳鼻科からママチャリまで、ありとあらゆるもの。でも、海外生活をしていると、現地になれるというよりは、日本の物の便利さや質を忘れてしまうので、恋しいと思うものはどんどんなくなってくる。海外生活5年目当たりでは、帰国した時に買いたいものは、生理用ナプキンと目薬などマイナーなもので、送ってもらうものには乾燥わかめや三菱ボールペンの替え芯など、軽くて現地では買えないものばかりに絞られた。

海外生活10年目くらいになると、日本からせっかく持って帰っても結局は調味料や100均の便利グッズなど使わずに無駄になってしまうということがわかり、スーツケース二つでは足りなかったような帰国が、ほとんど着るものを持っていって持って帰ってくるだけになってしまった。お土産も、帰る度に全く減っていない冷蔵庫の肥やしになっているマスタードやハーブティーを見て、もうほとんど持っていかなくなったため、行きも帰りもスーツケース一つで収まってしまう。

ヨーロッパにユニクロがオープンしてからは、日本から送ってもらいたいものは、更新されたクレジットカードと煎茶だけに絞られた。ビタミン剤や漢方を含む常備薬も、現地のものを使うようになったというよりは、その必要性自体がなくなってしまったため、買わなくなった。というのも、風邪薬を飲んでまで仕事に出なくてもいいヨーロッパの仕事環境と、海外生活が長くなったため現地のあれこれに対する抗体ができて、病気をしなくなるようになったということがある。

帰国したら、地元で帰国する度に会ってる同級生と何度か会い、東京の友達と会い、母と国内旅行や地元の温泉へ行き、空いた時間に部屋の物を整理しようとして、結局あまり進展しないということを何年も繰り返す。そうしているうちにあっという間に時間が過ぎてしまう。前までは歯石取りや免許更新などもしていたけれど、現地の歯医者に慣れ、日本の免許も切らしてしまったので、前ほどバタバタしなくなった。

とはいえども海外生活17年目、帰国するのにはまだ慣れない。

ユカリ